英ポンド/円相場は、152円台後半まで値位置を切り上げる展開になっている。対米ドルでのポンド安の動きに一定の歯止めが掛かる中、ドル/円相場の堅調地合と連動して、ポンド/円相場も地合を引き締めている。イングランド銀行(英中央銀行、BOE)の総裁交替に伴う先行き不透明感もあるが、当面はイングランド銀行に対する信認を高める政策が採用されるとの見方も、ポンドに対してはポジティブ材料になっている。
7月1日に、マーク・カーニー氏がBOEの新総裁に就任した。同総裁は、成長促進に向けて国内総生産(GDP)成長率や失業率などの数値目標を導入するとの見方が強くなっており、BOEや米国債に対する信認が高まり易い状況になっている。キング前総裁は金融政策委員会(MPC)で繰り返し資産購入枠の拡大を求めていたが、カーニー新総裁は当面の政策変更には否定的な見方を示しており、追加緩和のリスクが後退していることもポンドにはポジティブ。一方、6月27日に発表された1~3月期国内総生産(GDP)は前期比+0.3%となり、改定値からの修正はなし。マーケットの一部では上方修正期待も広がっていたという意味ではネガティブも、英景気回復の兆候が確認されていることが、ポンドの下値不安を限定している。7月1日に発表された6月の製造業購買担当者指数(PMI)も前月の51.3から52.5ま上昇するなど、英景気の回復見通しを支持する指標が増えている。
ここにきてポルトガルの政局不安から同国国債利回りが急伸していることが警戒されるが、現段階ではパニック的な動きは限定されている。政権維持に失敗すれば改めて欧州関連資産に売り圧力が強まるリスクもあるが、財政再建路線そのものを否定する選択肢は存在しない以上、一時的な混乱状況に留まるだろう。ポンド/円相場は引き続き底固く推移する見通し。
今後1週間の予想レンジは、151.00~155.00円。